コミック乱ツインズ 戦国武将列伝 2014/02号

今回で創刊5周年記念号らしい。
以前から通勤中に読み捨てている雑誌(創刊号から読んでた)なんだけど、今号は中々良かった。年末・年始で一番良かった漫画雑誌かもしれなくて、この感動を残しておきたい。

魔剣豪画劇 桃太郎!!

シグルイ」の山口貴由が描く袋とじカラー4Pの絵物語で、今回は桃太郎。鬼の正体とかはよく言われる話で、まあそれは良いんだけど、相変わらず描写がえぐい。犬・猿・雉は人間で、吉備団子を欲しがるのは罌粟の実入りだからとか、こんな話を巻頭にもってくる(しかも閉じてない方に罌粟の描写あり)センスが素晴らしい。

戦国自衛隊

我々の世代だと角川映画版が印象的な、半村良原作の「戦国自衛隊」を、森秀樹がコミカライズ。連載1回目の今回は、時震によるタイムスリップから野武士との戦闘直前までを描いている。森秀樹はちょっと(?)前まで、この雑誌で「腕KAINA〜駿河城御前試合〜」を連載していて、これは「シグルイ」と同じ「駿河城御前試合」を原作にしている。この二人がいるのだから、「駿河城御前試合」をテーマに特別編を競作(平田弘史とみ新蔵も一緒に)とかあると面白そうだけど、どんなもんでしょうかね。
話がずれたけど、今回は「富士の裾野」での演習中「天正十年」の時代にタイムスリップしたという設定になっている。手元の原作(角川文庫版でイラストが永井豪ダイナミックプロ)では「北陸(境川)」での演習中「永禄三年」にタイムスリップしているので、だいぶ様相が異なる。永禄三年が桶狭間の戦いの年であるのに対して、天正十年は本能寺の変の年。時の神が修正しようとしているのは、どんなズレか?この年に一気に躍り出て、歴史のカギとなり、なおかつ後世に子孫が残っていない人物となると、豊臣秀吉という事になるんだけど、そんな単純な展開になるかなあ。

島津戦記

今回は「耳川の戦い」が舞台となっているのだけど、なんと言っても島津義弘が弟の島津家久と甥の島津豊久に向かって「何かあった時 おまえも豊久も この俺が必ず守ってやる!」というセリフが感慨深い。直接的には、今回の話の中で、孤立した家久を義弘が単独で救いに行くストーリーへの布石になっているのだけど、関ヶ原での「島津の退き口」を想えば実に皮肉な話で、二十年以上の時を越えてエピソードをつなげる名台詞だなあと。

セキガハラ

関ヶ原では無くてカタカナのセキガハラ。無茶苦茶な設定で史実とは無縁なので気楽に読める。今回は前田利長の娘「満姫」が登場。どうすんだろうこれ。

無常草紙

今回が第十九話。今回もラストに向けて盛り上げる不穏な雰囲気がとんでもない。この作品は実は大傑作ではないかと思うんだよね。これだけにお金を払っても良いくらい。いつも余韻(それも苦い味わい)の残る終わり方だけど、今回はハッピーエンド(と言えるかは人を選びそうだけど)で、しんみりとした終わり方。巻末にピッタリだった。

今後も続けば良いのだけど。。。

他にもあるけど、印象的なものだけ(他も悪くはないです)だとこんな感じ。あと、今号は素晴らしかったんだけど、隔月刊なのでそれぞれの話をどんどん読めないのが難点。次号は2月26日(木)で、まだ1ヶ月以上ある。それから、今号はやたら値段が高騰している模様。(なんでだろう?)一応、アマゾンへのリンクは貼っておくけど、(まだ)書店やあるいはリイド社から直接購入するなどで普通に購入できるはずなので、興味がわいたら読んでみてほしい。こういうマイナーな雑誌は休刊・廃刊が怖いので、少しでも多くの人が購入すると良いなと。