「諸住哲. 図解 ビジネス情報源 スマートグリッド 業界動向と主要企業がひと目でわかる. アスキー・メディアワークス. 2010」を読んで

最近、耳にするのが多くなったスマートグリッドについて知りたくて、読んでみました。「図解 ビジネス情報源 スマートグリッド 業界動向と主要企業がひと目でわかる」です。amazonカスタマーレビューでも高評価のようです。

本の概要

「はじめに」には、以下のようにあります。

本書は、1章「スマートグリッドの超基礎知識」、2章「これが日本版スマートグリッドだ」、3章「スマートグリッドの技術を知ろう」、4章「スマートグリッド市場のビジネスチャンス」−と、スマートグリッドをさまざまな局面から解説しています。また、これからスマートグリッドを学びたいと思っているビジネスマンにとって、重要と思われるテーマをピックアップしています。

決して技術の詳細では無く、図を利用しながら「スマートグリッド」の定義や、今後の注目技術分野などが概要レベルで書かれているわけです。

そして、各章は以下のような内容になっています。

第1章 スマートグリッドの超基礎知識
そもそものスマートグリッドの概念から始まって、米国、欧州、日本、中国、その他の国々でのスマートグリッドの違いについて説明しています。
第2章 これが日本版スマートグリッド
日本での現状の電力事情と課題について説明し、電力の品質を保ちながら再生可能エネルギーを導入したり、送電ロスを減らし効率を上げるために、スマートグリッドが必要である事を説明しています。
第3章 スマートグリッドの技術を知ろう
スマートグリッドを構成する技術を分類し、幾つかのトピックについて説明した後で、「標準化」の必要性について書かれてます。
第4章 スマートグリッド市場のビジネスチャンス
非常に広範囲にわたるスマートグリッドの中から、注目の分野、業界、プレーヤ、今後の技術動向と課題、日本(企業)の方向性、といった幅広いテーマについて、関係している企業名を挙げて説明しています。

著者について

著者は、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO) スマートコミュニティ部 主任研究員/工学博士 で、大規模太陽光発電をはじめとしたスマートグリッド関連の事業を管轄されていたようです。
経歴を見ると、技術をちゃんとわかった上で、ビジネス展開に取り組んでこられた方のようです。

どんな人向けなのか

内容的には概要レベルですから、著者が述べているように「これからスマートグリッドを学びたいと思っているビジネスマン」向けだと思います。
具体的に直ぐに何かの役に立つ情報が必要という人向けでは無いですし、技術の詳細を知りたいという人にも向かないと思います。

得られるメリット

すぐに役に立つ実用書というわけではなく、内容的にも概要レベルですが、網羅性は高いのではないでしょうか。また、159ページの半分は図表ですから、キーワードを調べながらでも2時間以内にスマートクラウドの概要が理解できます。ウェブの断片的な情報をかき集めるよりも短時間に(それもおそらくは正確な)知識を得る事が出来ます。
私自身としては、以下のような点が良かったです。

  1. スマートグリッドが「集中・単方向・クローズ」から「分散・双方向・オープン」へという流れを実現するためのインフラである事がわかった。
  2. 各国間の事情の違いがわかった。
  3. スマートメータが各家庭におけるエネルギー制御の核であることがわかった。
  4. 震災前に出版、という現在の(原発とかの)状況と無関係に書かれた情報を包括的に得る事が出来た。

キーワード

色々あるのですが、このようなキーワードに引っかかるものがある人は手に取ってみてはいかがでしょうか。(あくまで概要レベルであることに気を付けてください。個々のキーワード「だけ」を知りたい場合はググるだけで良いかもしれません。)